古来より“イヌ”は人間にとって身近な存在ですが、時代と共に期待される役割や社会の中の位置付けが変わってきました。近年ではイヌ同伴可能な場所やお店が増え、イヌと行動する時の選択肢が増えましたが、それは同時にイヌにも社会性が求められるようになってきたということでもあります。そのような環境の中で人間とイヌの双方がストレスなく生活を送るためにはよりいっそうの相互理解が必要ではないでしょうか。

そこで今回は、東京都渋谷区でドッグトレーニングスクールやペットホテルの運営を行っている「イヌのトリコ」をご紹介します。

「イヌのトリコ」では、イヌがトレーニングをするだけではなく、飼い主も正しい知識を身につけ相互理解を深めることを目的としたさまざまなプログラムが用意されています。「イヌのトリコ」の活動にはイヌとの生活がもっと豊かになるヒントがいっぱいですよ!

きっかけは「飼い犬のことをもっと知りたい!」

「イヌのトリコ」のオーナーであり自身も世界基準のトレーナー資格CPDTを有する太郎さんは、もともとドッグトレーナーになることを目指していたわけではないそうです。自分自身がイヌを飼っていて、毎日を一緒に過ごす中で「この子を幸せにしたい」と思ったのがきっかけで、ドッグトレーナーのスクールに通い始めました。

「そもそもこの子たちの『幸せ』って感じることはどんなことだろう」「イヌの感情や考えていることを知りたい」と思い、イヌについての学びを深める中でイヌの福祉に則ったレッスン方法に出会いました。これが現在「イヌのトリコ」が取り入れているRPTMというトレーニングメソッドになります。

「イヌのトリコ」が実践する“イヌの福祉”に則った科学的なアプローチ。

一般的なイヌの保育園・幼稚園やしつけ教室などでは、トレーニングの一環としてイヌを叱ることもあるかもしれません。しかし、「イヌのトリコ」では叱る、叩くといった非人道的な方法を否定しています。

「イヌのトリコ」のレッスンは、イヌの福祉に則って、科学的根拠に基づいたレッスンとなっています。具体的には、動物福祉先進国デンマークのトップトレーナーであり動物の行動分析家として世界的権威であるヴィベケ・リーセ rptm-jp.com の掲げるRPTMというトレーニングメソッドを導入しています。RPTMは「犬を理解し、優しく、愛情と尊敬の念をもって接することで犬との関係性を築いていく」という考えに基づき、イヌを「訓練」するのではなく、ヒトと「共生」する術を伝えるもので、「イヌのトリコ」でもそれに則ったレッスンをお約束しています。

イヌが本能に「楽しい」と思えることをやる

上述の通り「イヌのトリコ」では、RPTMというトレーニングメソッドに則ってイヌに「訓練」するのではなく、イヌとヒトが「共生」する術を教えています。共生というのは、共に暮らす上での最低限のルールを教えることであり、例えば「トイレはここでしてね」とか「寝る場所はここだよ」といったような基本的なことです。

飼い主の中には「会話ができたらいいのに」とお悩みの方もいるようですが、一緒に暮らす相手とコミュニケーションの第一歩は「知る」こと、つまりご自身のワンちゃんの価値観を知ることです。ちなみに「お皿で食べる」はヒトの価値観です。そもそもイヌには狩猟本能があるので、草むらに隠れているエサを臭いでかぎ分けて探すことが楽しいと感じます。イヌが本能的に楽しいことをすると、本能が発揮されてイヌの満足度があがり、それがやがて飼い主との良いコミュニケーションにつながるのではないでしょうか。

隠れたエサを探し当てて食べるワンちゃんたち

人格ならぬ“犬格”形成にはパピー期の体験が重要

「イヌのトリコ」ではパピー期のトレーニングが重要だと考えております。パピー期、つまり人間で言うと幼少期は好奇心旺盛で元気いっぱい。感情のコントロールがまだ難しく、喜怒哀楽を全身全霊で表現してしまうので、時として他のイヌやヒトとのトラブルになってしまうこともあります。しかし、まだ”犬格”が確立されていないパピー期こそ、イヌとヒトとの関わり方や社会生活を送る上でのルールを覚えるチャンスだと考えております。

例えばトイレレッスンや噛みつき防止レッスンのような基本的なものから、音やモノに対して過敏に吠えることがないように予防するストレス耐性を強くするレッスンなど、この時期にしかできない特別なレッスンは多くあります。イヌのパピー期はとても可愛らしく一時も離れたくない気持ちもありますが、イヌとの関係はその後も長く続くので、思い切ってパピーレッスンを体験させるという選択肢もあるかもしれません。

時にはOB犬が教育係に!イヌ同士の関わりを実践で覚える

「イヌのトリコ」ではイヌ同士の関わりも大切にしています。イヌにとってドッグトレーナーから教わることも大切ですが、やはりイヌはイヌ同士通じ合える部分も多々あるはず。そこで「イヌのトリコ」では、かつてレッスンを受けたOB犬との関わりを積極的に取り入れています。

日常生活の中でイヌ同士が触れ合う場面としてはお散歩がありますが、その他にもドッグランで遊ばせるとき、飼い主のお友達の飼い犬と遊ぶときなど様々なシーンがあります。そのようなときに吠えてしまったり、はしゃぎすぎてしまったり、あるいは噛みついてしまったりしたら、その後の関係構築が難しくなってしまいますよね。

イヌとの付き合いにもルールや作法があり、それらを知らないとイヌ同士の豊かな付き合いは生まれません。OB犬との関わりの中でイヌとの適切な関わりを学び、社会性を手に入れることによって行動範囲が広くなる。それはきっとイヌにとってもヒトにとっても嬉しい変化でしょう。

「イヌのトリコ」で過ごす時間には意外な効果も!?

飼い主がお仕事や用事などで家を留守にしている間、ワンちゃんが一人でお留守番をするということもあるかもしれません。お留守番が得意なワンちゃんとあまり得意ではないワンちゃんの、どちらもいると思いますが、飼い主が帰ってきた時の激しい喜びようは共通していることでしょう。ワンちゃんはとにかく飼い主と触れ合いたく、遊びをねだったりちょっかいを出したりと、いっときも飼い主を休ませてくれません。とはいえ、1日仕事をして疲れて帰ってきた飼い主は、可愛いワンちゃんの希望に応えたいと思いつつも体はゆっくりとしたいもの。はしゃぐワンちゃんを尻目に、早々と寝てしまうこともあるでしょう。

しかし、「イヌのトリコ」でワンちゃんが1日を過ごすことによって、ワンちゃんも適度に体が疲れ、夜はゆったりモードになります。トレーナーとの遊び、お散歩、そして楽しいレッスンなど、ワンちゃんにとって充実した1日を過ごすことによって心身ともに心地よい疲れが生まれます。そのようなワンちゃんであれば、お迎えに来た飼い主に対してむやみやたらにはしゃぐようなことはしません。「イヌのトリコ」に通うことによって社会性やマナーが身につき、相互理解が深まりますが、それだけではなく家での夜の過ごし方も変わる。これも一つの効果といえますね。

スタッフのお2人は、もともとイルカのトレーナーだったそう!

顧客のニーズの変化。「しつけ」から「相互理解」へ

「イヌのトリコ」に訪れる方には様々な理由があります。無駄吠え、ヒトに噛み付く、家具や小物類を噛んでボロボロにしてしまう……イヌを飼ったことがある方でしたら、いずれも思い当たる節があるでしょう。イヌとの生活で確かにこれらは改善していかなければならない問題ですが、最近ではこのような「しつけ」をご希望する方だけではなく、もっとイヌとの関係をより良いものにしていきたいという「相互理解」をご希望する方も増えてきたようです。

当たり前ですが、イヌは言葉をしゃべることができません。しかし、イヌは様々な方法で自身の感情を表現しています。毎日一緒に過ごしている自分のワンちゃんであれば仕草や動作、ちょっとした表情の変化などから心の機微を感じとることができるかもしれません。これまでは“なんとなく”わかったつもりになっていたワンちゃんの気持ちも、表現に込められた意味を知ることで、さらなる相互理解が生まれるはずです。

困りごとの相談だけではなく、その先にある相互理解、すなわち関係の質を上げることをご希望されて「イヌのトリコ」に訪れる。そのような方が増えることを願っています。

イヌとヒトとのより良い関係、その先にある「イヌの幸せ」

「イヌのトリコ」のレッスンは、「ご家族の暮らしがより豊かになるように」というコンセプトでプログラムされています。とはいえご家庭ごとに「理想」や「豊か」が違うので、大切なワンちゃんをお預かりする前に飼い主様から十分なヒアリングをしてから、ご家庭の方針に合ったプログラムを構築します。

レッスンに通うごとにイヌの気持ちがわかるようになると、イヌとヒトとの生活は確実に変わってきます。言葉は通じ合えなくても、コミュニケーションを通じてお互いに豊かになる、お互いの満足度が上がる。「イヌのトリコ」が目指しているのは、その先にある「犬の幸せ」です。

まとめ

犬の保育園・しつけ教室比較ドットコムでは、これからもユニークな活動をしている団体を随時ご紹介していきます。ぜひご自身のワンちゃんに合った保育園や教室を選ぶ際の参考にしていただければ嬉しく思います。